奇跡的な景色との出会い。備中松山城

まさに「天空の城」

新型コロナは相変わらずだが、一時の危機感は抑えられて少しはゆとりが出てきた。全国旅行支援も始まって、残り少ない人生をもう少し楽しみたいと思うのは自然の流れではないだろうか。
全くの唐突ではあるが、本州岡山県にある備中松山城観光を思い立ち、秋とはいえ、まだ暖かいこの地を訪れることになった。備中松山城といえば「天空の城」。雲海に囲まれた幻想的な映像を描くに違いない。他にも竹田城跡、津和野城跡などが有名だが、何といってもこちらの城は天守が残る唯一の山城だ。
写真をご覧いただいてお分かりのように、雲海に浮かぶ風景は城の近くでは見られない。城観光というよりは、遠く離れた別な峠からの眺めということになる。しかもお金を積んでも見られるわけでもなく、雲海が出現するかどうかは天候次第。「雲海観光」は予定に入れるのを躊躇するギャンブル観光といえる。

雲海の出現確立70%なら行くしかない

私も、全くといっていいほど期待していなかった。あくまでも日程の都合で、前日の夕方に「弁柄(ベンガラ)」で有名な「吹屋ふるさと村」に宿泊していた。夜になってスマホを見ながら翌日の観光計画を立てる中で、「明日の雲海70%の確率」という情報をキャッチ。「えっ、本当に?!」ということで急遽変更。そして明日は5時起き、日の出前に出発と新たな計画を追加する。
山あいの吹屋ふるさと村の空が薄っすら白みはじめる頃に宿を出発。いい天気になりそうだ。これは期待できる。山道は恐ろしいほど狭く曲がりくねっている。予定では1時間ほどで目的地に着くはずだ。途中の上り下り道は、朝日がフロントガラスに輝いたり、濃い霧がかかったりと忙しい。この状況を見て雲海は間違いないと確信する。

期待通りの景色。幸運に感謝!

6時30分ころにお目当ての展望台に到着。先着の車が道路の片側に並ぶ。日曜の朝であったがそれほどの混雑ではない。近くに車を止めることがことができた。
少し歩いて小さな展望台に到着。2~30人程度の人出で全く問題がない。そこからの景色は期待通りで、充分満足できるものだった。しっかり目に焼き付けておこう。

雲海展望台

雲海はそこに留まっているように見えるが、風や陽の差し具合によってときには白壁を輝かせたり、また、広く深く立ち込めて城を消しさる。なるほど、霧(雲)と城山との絶妙なバランスで成り立つ景色なんだなあ。人も少なく、気温も上着を着ていれば寒いというほどでもない。幸運に感謝しながら、しばらくボーっと眺める。

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