粉雪舞い散る余市にて

雪が降ってちょっと寒かったが、ぶらっと余市まで車を走らせることになった。といっても、今回は助手席なので、気分はラク。目的は旨くて安いと評判のランチ。ついでにニッカにも寄ってみよう。夏場は、ウニ目当てで、この辺りは来ることが多いが、冬は初めだな。雪のニッカも、趣があっていいかもしれない。助手席だから試飲もできるし。

余市で食事と言えば、「柿崎商店」がつとに有名。店の前を何度か通ったことがあるが、いつも並んでいるのでまだ一度も入ったことがない。今日は、その店に行くものと思い込んでいたが、どうやら違う店であるようで(どこに行くかは知らないま。運転手任せなのだ)。

我が家を午前9時過ぎに出発して、高速は使わずに混雑する小樽市内も避けてやたら裏道をクネクネ回り、坂道を登ったり下ったりしながら11時ころに目的地に到着する。急かされて家を出たが、開店に合わせての出発だったのだ。雪道なので、少し時間がかかったようだ。途中、フルーツ街道と呼ばれる道を通ってきた。大きな道路工事が何箇所もあって、山側に建設中の立派な高架橋も見える。工事案内を見ると、小樽から余市への高速道路であるとのこと。予定では平成30年に開通するらしい。へえー、知らなかった。これは便利になる。完成した暁には、我が家から余市までの行程は30分ほど短縮されるのではないだろうか。もちろん、札幌から高速を使えば、の話ではあるのだが。でも、この進捗具合で、来年度の開通は間に合うのだろうか。この辺りは結構な雪が降るし風も強い。大丈夫か? いやあ、できないよね? これから本格的な冬を迎える工事現場を、とても僕には想像できない。
余談ではあるが、小樽から余市へ向かう途中に「塩谷(しおや)」の標識を目にする。僕は、いつも、必ず、絶対と言っていいくらい反射的に口ずさむ。「あいたい~きも~ちが、まま~ぁなぁら~ぁず」(笑) あの、有名な歌の2番の歌詞に出てくるのだ。分かる人は分かるよね。粉雪舞い散る今日、この曲はまさにピッタリ。今日も助手席でキッチリお約束を履行する。

さて、着いたところは「ガーデンハウス」という店。おい、大丈夫か!この店で間違いないか!

ファミリーすしガーデンハウスの暖簾。外観とメニューのミスマッチが半端ナイ。
入り口いn大きなカウンター。奥には結構広い座敷がある。

今日は、天気のお陰もあるのか、すんなり店内に入ることができた。同行者によるといつも並ぶらしい。店の中は、入ってすぐにカウンターがあり、奥には座敷があって思いのほか広い。カウンターはすでに満席で座敷に案内される。座ってほどなくするとドンドン客が入って来てすぐに一杯になったから、やはり人気の店であるようだ。

10品ほどが盛られてこのボリューム! 満腹になる。

人気はランチで、平日しかこの値段で食べられないメニューであるとのこと。「特大にぎりランチ」や「特大まんぷくちらし」を注文すると、食べきれない量であるらしい。とても無理なので、お勧めしてくれた「まんぷくちらし」を注文する。あら汁も追加して1,000円でおつりがくるのはイイね。

ほどなくして出てきた料理は、確かにボリューム満点。どんどん箸が進むので、うっかりビールを頼むのを忘れてしまった。でも、ビールを飲んでいたら、全部食べることができなかったと思う。ま、いっか! この後、ニッカで試飲が楽しめることだし。

満たされたお腹でニッカ工場に向かう。この天気なので、ここも空いていた。こんなに人のいない静かな時間は初めて。ゆっくり歩いていると、もろみの香りやアルコールの匂いがして、日々ここで商品が製造されているんだなあとの思いに至る。歴史とともに、古いけれどまだまだ現役として頑張っているこの地のプライドを感じる。
グルーっと回って、倉庫の一角にあるバーに寄る。ここは有料だが余市工場限定のウイスキーがあって、試飲ができるのだ。薄暗い倉庫(博物館)の中に大きな棚があり、ウイスキーボトルがキラキラ輝き並んでいる。年配のバーテンダーが2人いて、こちらを手招きしている(ような気がする)。吸い込まれるようにカウンター前に立ち、悩んだ末に選んだのはシングルモルト2000’s「余市」。

ご承知かと思うが、マッサンブームで一時期シングルモルトが市場から消えた。「余市」も、一昨年8月に販売中止となった。最近は、少々衣替えして売り出されているようだが、以前の商品とは違うみたい。この2000’sというのは、2000~2010年のシングルモルトを混ぜて商品化されているようだ。1オンス(30ml)450円。試飲というと高いように感じるけれど、よく考えるとススキノのバーで飲むより全然安いよね。アルコール57度のわりには、甘い香りで飲み口もまろやか。アルコール臭さがない。ウイスキーってこんなに美味しかったっけ?と思わせる。もっと高いのがあったけれど、僕はこれで大満足。また今度も飲んでみたい。帰りに売店で見たら6,480円で売っていた。悩む! 観光客はバンバン買っていたぞ、地域限定だからねえ。ウ~ン、お土産に欲しかったけれど、また、今度に来た時にしよう。(我慢、我慢!)