ウニ旅行

この時期になると、無性にウニ丼が食べたくなる。

うに丼、食べたい!

ということで、今年も6月某日、積丹半島に行ってきた。
話は遡る。僕はオホーツク海岸に出るのに4、5キロ。周囲は何もない牛と熊が人口よりも多いという田舎で育った。なにぶん寒いので、海とはあまり縁がない少年時代だったが、それでも夏場の一週間ほどがシーズンともいえる海水浴場があって、小学生のころはバスに揺られて友だちと遊びに行ったことは、ある。母の実家が海のすぐ近くにあって、貝殻や石を拾っていた思い出もある。夜になると潮騒が聞こえていたけど、冬の夜は風でその音が怖かった。海といって甦るのはその程度の記憶。
だけど、何といってもオホーツクだからね、ホタテと毛ガニはよく食べた。あのころ食べた毛ガニは最高だったなあ。季節になると知り合いが捕りたてのカニを大量に持って来てくれる。デカい鍋にザザーっと入れて塩ゆで、あとは新聞紙を広げてひたすら食うだけ。今思うと、何て贅沢だったのか。
が、大人になるまでウニは苦手だった。というより、大人になってからはウニを食べる機会がほとんどなかった。寿司屋でウニなんてとんでもない。就職して、一人前に居酒屋に飲みに行けるようになったころ、友人が安くウニを出してくれる店があると誘ってくれたことがあった。その店は確かに美味しい肴を安く提供してくれていた。ウニ一折をそのまま出してくれる気風のイイ店だった。ホントにいいのか?と思いながら食べたが、その時は全部を食べきれなかった。カネの心配もあったがウニは少しでいいな、というのがその時の感想。その程度のウニファンである。

積丹半島島武意海岸 シマムイと読む。日本渚百選に選ばれている「積丹ブルー」で有名な海岸。
積丹ブルー

話は長くなったが、積丹のウニだ。積丹では6月の初旬にから中旬にかけて漁が始まり8月末で終了、9月には禁漁になる。美味しい生ウニはこの期間しか食べることができない。とある日、家族で積丹観光ついでにウニ丼を食べてみることにした。丼にウニが一面広がっている、という話はもちろん知っていたが、そんなにウニは食べるものではないというのが持論だから敬遠していた。この日は、入った店がウニ丼押しで、周りの人もウニ丼ばかり。食えるかなあと散々迷った末に、ウニ丼!の一点買いを試みた。
結論!その時のウニ丼は最高に美味かった。ペロッと食べちゃったし、お代わりしようかと思ったくらいだ。以来、この季節になると、家族で積丹にウニ旅行となる。今回は積丹町でもっとも有名な「みさき」をチョイス。幸運にも並ぶことなく席に着くことができた。

その前の年は道路が「ウニ渋滞」で途中で断念。美国の「ふじ鮨」に立ち寄った。他にも「食堂うしお」「なぎさ食堂」など、有名どころの店があるが、一発で目的地に到達することのほうが少ない。その日の店や道路の込み具合によって行く店が変わる。例えば美国の「純の店」は、一度すんなり入れたものの、込んでいることが多く、その後は行けていない。
年に一度だけのウニ旅行ではあるが、それでも行けないことが多い。札幌からでも結構遠いし、休日の混雑や天気のこともある。わざわざ行かなくても近くでウニは食えるが、できれば、天気が良くて積丹ブルーを見て、温泉に入って、また来年も来ようよ!というささやかな幸せを続けていけたらいいなと思う。来年もよろしく、ウニ丼。

古平漁港 余市から古平、美国そして積丹町に向かう海岸線はトンネルと奇岩の連続。複雑な地形がゆえに天気が変わりやすい。半島を霧がすごい勢いで流れる様をよく見る。