オジサン巡礼の地、富良野

前回、キャンピングカー旅行の続きー

雨で順延になっていた富良野行き。メンバーが楽しみにしていた土地だけど、皮肉にも、数年前に行ったことのある2人だけの旅となった。富良野といえば、僕たちの年代はすぐに北の国からを思い出す。そして、五郎(田中邦衛)の顔と訛ったあのセリフ。おそらく、誰もが一度はマネをしたことがあるのではないだろうか。

野趣に富んだ吹上温泉

北の国からが放送されていたころは、仕事に忙しく帰りが遅くなって毎週見ることができなかった。ある日、高田馬場駅近くの馴染みの居酒屋で飲んでいたとき、知り合いが店に入ってくるなりテレビを付ける。間に合った、と言って見たのがこのドラマだった。以来、どちらかというとこの店で見た記憶の方が多い。丁寧に作られた映像は、北海道の自然を過酷でありながらも優しく包みあったかい。「いいよなあー北海道、行きたいなあー」と知り合いが言う。テレビで見る北海道訛りのこのドラマ、ちょっと懐かしく、気恥ずかしい思いをしながら見ていた。

富良野を最初に知ったのは、スキー場としてだと思う。以前は「北の峯スキー場」といっていた。西武がプリンスホテルを建て、FISワールドカップ開催にあたって「FURANO」として有名になったと記憶している。北の峯スキー場のころから、ロングコースが滑れる本格的なスキー場として人気で、僕にとっても一度は行ってみたい憧れのスキー場だった。富良野には何度も行ったことはあるが、実はここでスキーはやったことがない。当時、苗場とともに華やかで人気のこのスキー場であったが、チャンスを逃して今に至る。僕にとって年齢と同じで既に旬を過ぎてしまい、違う魅力で訪れる場所となった。

そしてお隣にある美瑛。パッチワークの畑と美しい山並みが魅力だ。ここを知ったのは、写真家「前田真三」の写真が広告に使われたときで、こんな美しい風景が日本にあったのかと驚いた。ケンとメリーの木やセブンスターの木、マイルドセブンの丘など、昭和50年代には広告媒体にたくさん登場して全国的な認知度を上げた。

倉本聰と前田真三は、この地を知らしめた功労者であることは間違いない。今回のキャンピングカー旅行でも、ここは外せなかった。日の出キャンプ場に泊まり、先ずは黒板五郎とシュウ(宮沢りえ)が入った温泉として有名になった吹上温泉に行く。脱衣所は簡易テントにスノコが置いてあるだけの天然の露天風呂、しかも混浴。朝早くにも関わらず、先客男性が2人いて、ズーっと本を読んでいた不思議な人と、もう1人は地元の人。地元の人曰く、その昔、ここに来たところ丁度件の撮影中で入れなかったことがあって・・・。地元ならではの秘話?を聞かされる。
その後、キャンプ場の裏手にある日の出ラベンダー園に行く。ここは、上富良野町営の畑であるようで、観光客も少なく、ゆっくりと見て回れた。その後30度を超える暑さの中、久し振りに訪れたのがファーム富田。丁度ラベンダーの見頃で、車が渋滞。売店は人で溢れていた。暑さに参ってラベンダーソフトクリームを購入してみた。これが旨い! 爽やかな味で期待をいい意味で裏切ってくれた。

日の出ラベンダー公園
国道を外れると、こうした景色が広がる

さらに、美瑛に向かう。美瑛らしい静かな風景を見ようと富良野国道を外れ、脇道に行く。ここでも多くの人と車が行き交い、ケンメリやセブンスターの木、親子の木などを求めて観光バスが横づけされるシーンに出会う。今も、現役として活躍していることはとてもうれしい。でも、観光客は若い世代が多い。僕たちオジサンは少ない。というか外国人観光客が多い。この人たちは、どうしてここを知っている? なぜここ? 不思議な気分になる。車で来るにしても、ここへ来る道は迷路のようでとっても分かりにくい。(僕たちも迷いながら、たまたま出会ったようなものだ) レンタル自転車で来ている人も結構いて、オジサンにはとても真似できない。確かに画になるし気持ち良さそうだが、実はこの辺りは坂道だらけでシンドイのだ。この多くの観光客の情熱は、どこから来るのだろうか。

最近では、JALのCM(嵐が出演する)に登場する5本の木も有名になり、途中に寄った農園で「ここから見えます!」と表示されていたけれど、ここはスルーした。ジャニー系は、僕にとって巡礼する地ではないのだ、当然だけどね。