唯一無二の美しさ、姫路城

城ブームといわれて久しい。テレビでも、歴史やバラエティーと絡めて番組で取り上げられている。以前から絶対に見ておきたいと願っていた姫路城に、やっと足を踏み入れることができた。

よく晴れた午前、旧友たちと神戸から電車で向かう。姫路駅が近づくと土地勘のある友人が「もうすぐ城が見える」と教えてくれた。地方都市といえど、それなりに高い建物が多いが、隙間から、確かに見える。「真っ白だ!」。アホみたいに単純な感想を口に出していた。思いのほか姫路城は駅近くにあった。

駅前通りから、ドーンと白鷺城が見える。

駅前から天守は手招きしていた

駅を出ると正面に広い道路が伸びている。その先には、目を凝らすまでもなく姫路城が凛とした姿を見せていた。都市の中心駅を降りて、歩いて城に行ける。あまり聞いたことがないアクセスの良さ。興奮気味に途中、写真を何枚か撮る。道路左右にある街路樹がちょっと陰になって城の視界を遮っている。横断歩道の途中、つまり道路の真ん中からだと一番城がよく見える車を全面通行止めにしてくれないかなあ、そう思わせるほど、城の存在は際立っていた。

姫路市民にとっての普通の景色が、コレ! うらやましい限りだ。

平日であり、意外と観光客は少なかった。待ち時間なし。ありがたい。この日も天気は良く、この先30度近い暑さになると予報が出ていた。城門を通る際には、これ以上先には飲み物がないのでここで買うように、という親切な案内もあった。

大天守までの道のりは、いくつもの門をくぐる。入場料を支払って最初に見えるのが「菱の門」。門といっても櫓造り2階建ての立派な門だ。2階の窓は四角と釣鐘型。しかも黒塗りで飾り金具が見える。門を潜る前にフッと目を上にやると、塀越しに大天守が輝いているではないか。またまたカメラを構えしばし見とれる。なかなか前に進めない。

6層7階建ての大天守に入城

大天守の中は、いたってシンプルだ。何もナイ。平成の大修理以前は、資料などが展示されていたが、この度の修理を機に、他に移したという。ということで展示物がほとんど見当たらない。過度な装飾がないので物足りないくらいだが、これでいいと思う。案内板も目立たなく、最低限に控えられている。QRコードの読み取り案内があるので、スマホを持っていれば立ち止まらなくても済む。

順路に従ってぐるぐる回り、階段を登っていると、何階のどこにいるのかが分からなくなる。4階と5階は急に狭くなっている。外光も入りにくい造りになっているから、全体的に暗い。なるほど、6層だけれど7階という建物の秘密は、この構造によるものだと何となく理解する。
4,5階は階段が陰になり間取りも分かりにくかったので、ちょっと見回す程度で通り過ぎてしまった。天守の最上階は目の前だ。つい先を急いでしまう。今思うと、もう少し建物の構造や見どころを頭に入れ、じっくり見るべきだったと反省する。ま、予習が苦手なのは今に始まったことではない。
内部を回りながら、今まで訪れた城とは段違いにスケールの大きい建物だと実感する。もちろん大阪城や名古屋城などを除く木造の天守の話である。

これまで特に意識せずに訪れた先々で、城があると聞けばとりあえず行ってみた。特に城に対して強い興味があったわけではないが、気が付くと現存12天守の7城を見てきた。こうなると、残りは島根と岡山、そして四国にある3城。北海道からは遠い場所の城ばかりだが、今後の楽しみにはなるなあ。足腰が元気なうちに頑張ってみるか。

松本城

桜の季節に訪れる。団体旅行だったので、時間がなく内部は見れなかった。もう一度、ぜひ行ってみたい。

 

松本城

丸岡城

金沢から永平寺に行く途中に立ち寄る。住宅街に小高い丘があって、ひっそり佇んでいた。近くに行くまで城の存在に気が付かないが、天守からはなかなかの眺め。天守の高さは12.5メートル、姫路城の31.5メートルと比べるとかなり小さい。城への階段がとても急になっている。天守の2階への階段はさらに急で、山登りのように紐につかまらないと登れない。

犬山城

城の魅力を最初に感じたのが、犬山城だ。それまでは、城といえば大阪城と名古屋城しか知らなかった。コンクリートでできた立派な城は、安全で見栄えがいいが、中に入ると普通のビルと同じ。ありがた味もロマンもない。どこの城も、そんなものだと思っていた。

犬山城は、高さが18メートルと、丸岡城より5メートルほど高い3層4階建て。5メートル高いと1階分増え、建坪も広くなって城としての大きさもさることながら、趣は随分と変わってくる。100メートルに満たない山に建てられているが、周囲は川や堀に囲まれて鉄壁の守りを感じさせる。立派な石垣があって、城門も再現されている。こうしたロケーションの違いが、天守までのアプローチにワクワク感をもたらせてくれるのだ。また、城下町の雰囲気も残っていて、帰りにはいろいろ寄り道する楽しみもある。僕は、ここで並んで買った五平餅の味が忘れられない。裏道では創業が慶長2年(1597)といわれる小島醸造を発見。忍冬酒という珍しいお酒にで出会う。

犬山城本丸では、薄いピンク色のハナミズキが咲いていた