令和の桜

日本がが令和になった。突然の大ブーム。日本人って、こんなに元号に愛着を感じていたのか? と言いながらも、昨日(30日)は北海道神宮に行き、最近始めた「ご朱印帳」に平成最後の日を記してもらった。他人のことはとやかく言えない。流行にノル質なのだ。

北海道神宮までの道は混んでいてすごい渋滞だった。この調子なら、近くの円山公園も、きっと花見で盛り上がっていることだろう。風が時折吹いて肌寒い。でも日差しがあって「まあまあ」の天気だ。鳥居から続く参道の桜は満開で、訪れた人を楽しませている。門をくぐると、参拝待ちが大勢並んでいる。参拝は後に回すとして、ご朱印はどこかな?と辺りを見回すと、やはり同じような人がいるもので、そこにも列ができていた。しょうがない、と列に並ぶ。後で知ったことだが、新聞によると、ここ北海道神宮でも令和の初日は朝8時半時点で120人が並んだらしい。さらに明治神宮では10時間待ちだったとか。流石に、ちょっと異常だよね。そこまでして並ぶか?! 北海道神宮で良かった。僕は、15分程度並んでご朱印を頂戴した。

令和の最初の日は、函館で過ごした。この日朝早くに札幌を出て、中山峠を越え、豊浦で高速に乗る。途中、休憩を挿みながら4時間半で函館に到着。時計を見ると9時だった。この時期の函館といえば五稜郭公園の桜である。この日は、あいにく時々小雨も降る曇り空だった。その所為だろうか、いつもなら無理であろう駐車場に少し待って入ることができた。

桜は期待通りに咲き誇っていた。この天気なので、朝からジンギスカンを食べている人はいない。以前、たまたま桜の季節に五稜郭に寄ったことがある。その時はあちこちでジンギスカンを楽しんでいて、その匂いに胃袋が刺激され、いつか「ここでジンギスカンを」と強く思ったものだ。残念ながら今回も叶わないけれど。

五稜郭の桜の見どころは、土手の上からの眺め。目の高さに桜の花が広がって素晴らしい。土手の上下の2段に眺めることができて周りに遮る景色もない。左右の広がりと奥行き感が、ソメイヨシノを柔らかく優しく魅力的にする。桜の見どころ格付けで、ソメイヨシノ部門があるとしたら、ここが北海道一の景色ではないかと思う。いやいや、もっといいところがある、というならぜひ教えてほしい。

ここで気が付いたのが、桜の幹はどれも年代を感じさせる太いものだということ。保護のためだろうか枝がかなり剪定されているのが分かる。函館は雪が少ないといいながらも、それなりに積雪はある。本州のようにソメイヨシノを咲かせるには、きっと大変な苦労があるのだろう。

こんな素敵な桜の下で、気軽にバーベキューも楽しめるのだ。函館市民が羨ましくなる。この環境を大切に持続してほしい。以前訪れた松前の桜も見事だが、こちらは南殿(なでん)という八重桜を中心として様々な桜が咲くので、またちょっと趣が異なるということを付け加えておきたい。

五稜郭タワーの向かいにあるラッキーピエロ。函館に来たらここは外せない。50風分も並んだ。しかも提供されたのはその40分後。思わぬところで時間を食ってしまった。きっと日本中、至るところでこのような光景があったことだろう。

函館からの帰り、しだれ桜のスポットがあるというので、北斗市にある法亀(ほうき)寺に寄ってみることにした。五稜郭から国道227号線を通って約15㎞。30分もあれば着くだろう。できれば、このお寺で令和初日のご朱印もお願いしよう。

ちょっと道を探しながらも予定通りに法亀寺に到着。ここでは、運よく目の前の駐車場に案内される。法亀寺はそれほど大きなお寺ではなかったが、境内は広々としていた。道路に沿って塀があり、樹齢300年と言われているしだれ桜は大きく、外からも塀越しに眺めることがでた。北海道でこれほど大きいしだれ桜は珍しい。見ごろだったので、多くの観光バスが来ていた。北斗市には、他にも桜名所が多くあると聞く。「道南桜巡りツアー」といったタイトルの観光バスだろうと推測する。今回は時間がないので、近隣のさくら観光は諦めるが、またこの時期にゆっくり見物したいものだ。

5年前の春を思い出す。「高遠の桜と信州六つの花巡り」という一泊のバスツアーに参加したことがある。東京から出発して「妙義山の山桜」「上田城の桜」「ちくまのあんずの花」「松代城址公園の桜」「須坂市臥竜公園の桜」。その夜は志賀高原のホテル泊。翌日は「松本城の桜」「光前寺のしだれ桜」「高遠城址公園のコヒガン桜」そして東京に戻るというチョー欲張りな桜巡りだった。

法亀寺でご朱印をお願いしたら、住職が不在で書くことができないという。東京でのあの異常なまでのブームは、ローカルなこの地では別世界の話だ。「印刷したものでよければ」ということで、少々不本意ながらもありがたく頂戴する。法亀寺から歩いて5分程度の大野川沿いには、桜並木もあってこちらも結構な桜スポットだ。

法亀寺のしだれ桜。夜はライトアップされる。

毎年、桜を追いかける。拘りながら桜をカメラに収めつつ、いつも思う。どうも綺麗に撮れないなあ、と。青い空が欲しいなあ。曇り空に、淡いピンクは映えない。もう少し光が欲しいなあ・・などとつぶやきながら無駄にシャッターを切る。

自宅に帰りパソコンを開く。撮った写真を改めて見直す。やっぱり、コレと思う画がない。いや、確かもっといいショットを撮ったはずだけれど、などと思う。カメラが悪いのか、レンズが悪いのか。これ以上は言うまい。

結局、画像ソフトを使って少し手直しする。でも、実はそれほど思い通りにはならない。手を加えれば加えるほど、不自然な画になってしまう。桜は、実際に足を運び、しっかり目に焼き付けるしかないようだ。